設計パラダイムとしての超設計の理論と技法_高橋 武則(2023-JA-PO-04)
パラダイムとは考え方の拠って立つ基盤のことで,これを言い換えれば対象となるものの本質をどうとらえるかというものの見方のことである.そして,ものの見方が変わればアプローチも大きく変化する.様々な分野では各々の歴史の中で何回ものパラダイムシフトが登場してきた.その代表例は天動説から地動説へのパラダイムシフトである.パラダイムはその宿命として絶対的なものはなく時間の流れの中で次のものに移行することは避けられない.
本研究は設計分野における現時点でのパラダイムシフトについて論じる.従来の数理的な設計論では多変数重回帰式に基づく最適化であった.本研究は超因子に基づく重層構造の超構造関数を用いた最適化である超設計というパラダイムを紹介する.このもとでの設計はこれまでの設計とは大きく異なる.
超因子とは設計因子の中から自由に指定・変更ができるものである.そして超因子に基づく重層構造の超構造関数は超因子に関して微分・積分が可能なために数理的に高度な設計を可能にしている.また,超構造関数に関するパラメータ数が多い場合には定式化が混乱する.この場合には代入関数という方法で多パラメータ問題を解決している.