みなさんは、次のようなグラフをご覧になったことはありますでしょうか?近年、さまざまな分野で活用されているグラフです。

このグラフをはじめて見る方も、何となくその意味を感じ取ることができるのではないでしょうか。
このグラフは、「サンキーダイアググラム(Sanky Diagram)」と呼ばれています。
上記のグラフは色の好みを尋ねたアンケートの結果例です。「一番好きな色」、「性別」、「年齢」という設問を横軸に配置しており、各軸における間隔の太さは、回答数の割合に比例しています。
グラフからは「50代はBlueを好む割合が高い」、「40代の女性はPurpleを好む割合が高い」などの傾向が一目でわかります。
本記事では、まずサンキーダイアグラムの概要を説明し、その後、2つの分析例をもとに、JMPでサンキーダイアグラムを描く方法を紹介します。記事の最後には、操作方法を示したビデオも掲載しています。
サンキーダイアグラムとは
サンキーダイアグラムは、量のフロー(流れ)を可視化した図と言われています。ものの移動や時間的変化などを効果的に示すグラフですが、それ以外にもカテゴリカル変数間の関連性を示す用途にも使われます。
JMPでは、「グラフビルダー」の 「パラレルプロット」の機能を使って描くことができます。
パラレルプロットとは、ある行の値を複数の変数にわたってつないだグラフです。通常は複数の連続変数を折れ線で結ぶ形式で使われますが、カテゴリカル変数も含めることが可能です。
カテゴリカル変数を含めると、各水準(カテゴリ)は平行な線(軸)上に間隔として表され、間隔の長さは、カテゴリカル変数の各水準におけるデータ数に比例します。
例1: 製造データによる要因探索
JMPのサンプルデータ「Powder Metallurgy.jmp」は、自動車部品の製造データです。目的変数の1つであるカテゴリカル変数「表面の状態」(Pass/Fail)と、カテゴリカル変数および連続変数の工程データが含まれています。

ここでは「表面の状態」(Pass/Fail)と、それに影響があると考えられるカテゴリカルな工程変数「成型方法」、「圧縮方法」、「焼結方法」との関連性を、サンキーダイアグラムで可視化してみます。
基本操作
①分析の対象となる列を複数同時に選択(CtrlキーやShiftキーを利用)し、[X] ゾーンにドロップ
②「パラレル」のアイコンをクリック

この操作だけでサンキーダイアグラムを描くことができます。ダイアグラム上で調べたい折れ線を選択すると、他のグラフやデータテーブルと連動します。
下図では、「表面の状態」 がFail であるケースの中でも、太い折れ線(赤色)を選択しています。この線は、成型方法:Extrusion,圧縮補法:Cold、焼結方法:Atomosphere を結んでいますが、「表の作成」で集計すると、この条件のFailの割合が23.92%と最も高いカテゴリの組み合わせであることがわかります。

ここではカテゴリカル変数を用いた例を紹介しましたが、JMPでは連続変数とカテゴリカル変数を混在させたサンキーダイアグラムも作成できます。
下図は「表面の状態」(カテゴリカル変数)と、それに影響があると思われる連続の工程変数「焼結時間」、「焼結温度 C」、「比」を使ったサンキーダイアグラムです。

例2: 臨床試験の被験者フローをグラフ化
今度は「フロー」の情報をグラフ化する例です。下図は906名が参加したある臨床試験において、被験者がどのグループに割り付けられたか(NIC. 15または Placebo)、さらにグループごとの試験の継続状況(COMPLATED, DEATH, LOST TO FOLLOW-UP)をフローで示したダイアグラムです。

※このダイアグラムは、弊社の製品「JMP Clinical」で作成することができます。
この状況をサンキーダイアグラムで可視化するために、次のようなデータを用意します。それぞれのカテゴリの属する被験者数を列「N」に入力しています。

※便宜上、N=0 のカテゴリを除外しています。
※このデータは、本ブログからダウンロードできます(Study Flow Diagram.jmp)。
このデータを使い、カテゴリカル変数を[X]に、「N」を[サイズ]に、「Arm」を[色]に指定して作成したサンキーダイアグラムを示します。

このようにグラフで表現することで、試験における被験者の流れや状況を分かりやすく把握することができます。
参考までに、上記の例1、例2の操作をビデオでまとめています。ぜひご覧ください。(注意:音声はありません。)
by 増川 直裕(JMP Japan)
Naohiro Masukawa - JMP User Community
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