SAS Institute Japan株式会社 JMPジャパン事業部 シニアテスターの小野と申します。
■JMP Student Editionは、JMP Proという製品がもつ機能を備えています。現在のJMP Student EditionのバージョンはJMP Pro 18となります。残念ながら、現在のJMP 18 および JMP Pro 18には傾向スコアマッチングを行う機能はございません。
■JMPおよびJMP ProにはJMPスクリプト言語という言語が備わっており、そのJMPスクリプト言語でプログラミングを行えます。10年程前に作成した古いものとなりますが、1:1の最近傍マッチングを行うアドインを作成しました。以下の説明ファイルに同アドインのダウンロード場所などが記載されています。
https://www.jmp.com/content/dam/jmp/documents/jp/support/propensityscore201412.pdf
同アドインは、乱数によってソートした後に貪欲法(greedy method)によって1:1マッチングを行うものです。1:kマッチングや最適マッチングなどは行えません。また、あくまで現状有姿(as-is)のサンプルとして提供されているものです。
■次期メジャーリリースであるJMP Pro 19では、「因果処置効果」プラットフォームという新機能が追加され、そこで最近傍マッチングを行えようになります。また、「因果処置効果」プラットフォームでは、逆確率重み付け法、回帰調整法(標準化法)、二重ロバスト法といった3つの方法で平均因果効果(ATE)および処置群平均因果効果(ATT)を推定することができます。
(この話は次期メジャーリリースのJMP Pro 19の話です。現在のリリースはJMP Pro 18であり、現状のJMPでは傾向スコアマッチングの機能は用意されていません。)
■付記:
ご質問とは関係ないのですが、傾向スコアマッチングを批判した有名な論文としては以下のものがあります。
King, G. and Nielsen, R. (2019)
Why Propensity Scores Should Not Be Used for Matching
Political Analysis, 27(4), 435-454.
https://gking.harvard.edu/publications/why-propensity-scores-should-not-be-used-formatching
また、上記のアドインと一緒にインストールされる「最近傍マッチングスクリプトの説明」のPDFファイルでは([アドイン]→[最近傍マッチング]→[最近傍マッチングスクリプトの説明]で呼び出されます)、Stephen Sennによる傾向スコアに対する注意(批判)を紹介しています。
ローゼンバウム著 高田悠矢・高橋耕史(監訳)『因果推論とは何か』朝倉書店pp.49-53では、傾向スコアマッチングでは何をマッチングさせているかが解説されています。
Yusuke Ono (Senior Tester at JMP Japan)