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JMP 18の新機能 Part 3:多くの方に好評な「プラットフォームのプリセット」機能

JMP 18を使うと、すぐにレポートのアウトライン右側に★(星)マークのアイコンがあることに気づきます。このアイコンが、本ブログの主役となる「プラットフォームのプリセット」です。

 

Masukawa_Nao_0-1716187878792.png

 

先月および今月にJMPジャパン事業部で実施したJMP 18の新機能に関するセミナーのアンケートによると、この機能が最も良い機能、使ってみたい機能であると回答がありました。

 

プラットフォームのプリセットとは?

簡単に言えば、レポート出力でカスタマイズした内容(軸の設定、色の変更、オプションの適用など)を保存して、他のレポートに適用できる機能です。「プリセット」とは前もって調整することを言いますので、その調整したものを、同じタイプのレポートに★のアイコンから簡単に設定できるのです。

 

この機能の使い方としては、主に次の2つのパターンに分けられます。

 

  1. JMPですでに保存されているサンプルプリセットを利用する
  2. 自身のカスタマイズしたレポートをプリセットして保存し、別のレポートに適用する

 

それぞれについて説明していきます。

 

1.サンプルプリセットを利用

レポートの★マークをクリックすると、[サンプルのプリセット] というメニューがあり、ここから表示しているレポートに対するいくつかのプリセットを適用することができます。

 

例えば、[多変量の相関] プラットフォームでは、以下のようなサンプルのプリセットがあります。

 

Masukawa_Nao_1-1716189287426.png

 

最初のレポート(プラットフォーム起動時)に 、サンプルのプリセット[散布図行列と有意性円] を適用してみたのが下図です。散布図行列に確率楕円、回帰直線、有意性円などのオプションが適用されたレポートが即座に表示できました。

 

Masukawa_Nao_3-1716189738292.png

 

もう一つの例を行ってみましょう。[管理図ビルダー]のプラットフォームで、[Y] と [サブグループ] を指定してXBar&R管理図を描いた際、管理図のテスト(WER: Western Electric rules)を行うために、サンプルのプリセット [テスト付きIMR管理図] を適用してみたのが下図です。ゾーンに色を付け、WERの1~8のテストを実施し、管理図上に警告(引っかかったテストの番号)を表示します。

 

Masukawa_Nao_4-1716190191612.png

 

ここで、JMPの初心者になったつもりで考えてください。多変量の相関の例も、管理図ビルダーの例も、どのように操作すれば、プリセットを適用後のレポートを得られるでしょうか?

 

[多変量の相関]では、以下の赤枠のオプションをすべて適用しないといけないのです。初心者には難しそうですね。

Masukawa_Nao_1-1716191052865.png

 

[管理図ビルダー]でゾーンに色をつけたり、テストを実施するにはどのように操作するのでしょうか? 赤い三角ボタンからオプションを選択する方法ではないので、初心者の方にとっては難しいかもしれません。

 

サンプルのプリセットを適用すれば、そんなお悩みも解決しますし、何よりも効率的です。

 

※プラットフォームによっては、サンプルのプリセットが用意されていないものもあります。

 

2.カスタマイズしたレポートをプリセットとして保存して利用

自分でカスタマイズしたレポート設定を保存して、別のレポートに利用することができます。JMPを使っていると、だいたい最初から必要なレポート形式は決まってきますし、組織内で決められたレポートがある場合もあるでしょう。

 

例えば、私は階層型クラスター分析で、どのようなデータに対しても以下のオプションを必ず実行します。

[クラスターの色分け]、[カラーマップ]、[クラスターの要約]

 

これらのオプションを実行したレポートです。

 

Masukawa_Nao_0-1716192750799.png

 

オプションを設定後、★のアイコンをクリックし、[プリセットに名前を付けて保存] を選択します。

ここでは下左図のように、「カラーマップ、要約」という名前を付けて保存します。

 

Masukawa_Nao_2-1716193398974.png

 

保存したプリセットは、階層型クラスター分析の別のレポートに適用できます。下図は、別のデータテーブルで階層型クラスター分析を行った際、保存したプリセットを適用したものです。

 

Masukawa_Nao_4-1716193485601.png

 

 

プリセットの共有

自身で保存したプリセットはファイルに書き出すことができ、JMPのユーザ内でプリセットを共有することができます。

 

自身のプリセットを書き出し

  1. [ファイル] > [環境設定]の「プラットフォームのプリセット」グループを開きます。
  2. [書き出し] ボタンをクリックし、拡張子(*.jmppresets)で保存します。

 

プリセットの読み込み

  1. 環境設定の同じ箇所で、[読み込み] ボタンをクリックし、プリセット形式のファイルを読み込みます。

 

下図では、上記で紹介した階層型クラスター分析のほかに、主成分分析、判別分析、多重対応分析のプリセットが表示されています。

 

Masukawa_Nao_6-1716193994394.png

 

これらのプリセットを書き出して保存したファイルを、本ブログに添付します。

※添付のmultivariate_presets.zipを解凍して表示される、「multivariate.jmppresets」をマシン上に保存し、上記の[読み込み] ボタンから、保存した場所を指定して読み込んでください。

 

例えば、組織内で統計やJMPに詳しい方が、分析した結果をプリセットとして保存し、組織内のJMPユーザに共有し使ってもらうといった利用法が考えられますね。JMP 18では特におすすめの機能ですので、ぜひ使ってみてください。

 

by  増川 直裕(JMP Japan)

Naohiro Masukawa - JMP User Community

Last Modified: May 20, 2024 8:05 PM