JMP 18を使うと、すぐにレポートのアウトライン右側に★(星)マークのアイコンがあることに気づきます。このアイコンが、本ブログの主役となる「プラットフォームのプリセット」です。
先月および今月にJMPジャパン事業部で実施したJMP 18の新機能に関するセミナーのアンケートによると、この機能が最も良い機能、使ってみたい機能であると回答がありました。
プラットフォームのプリセットとは?
簡単に言えば、レポート出力でカスタマイズした内容(軸の設定、色の変更、オプションの適用など)を保存して、他のレポートに適用できる機能です。「プリセット」とは前もって調整することを言いますので、その調整したものを、同じタイプのレポートに★のアイコンから簡単に設定できるのです。
この機能の使い方としては、主に次の2つのパターンに分けられます。
- JMPですでに保存されているサンプルプリセットを利用する
- 自身のカスタマイズしたレポートをプリセットして保存し、別のレポートに適用する
それぞれについて説明していきます。
1.サンプルプリセットを利用
レポートの★マークをクリックすると、[サンプルのプリセット] というメニューがあり、ここから表示しているレポートに対するいくつかのプリセットを適用することができます。
例えば、[多変量の相関] プラットフォームでは、以下のようなサンプルのプリセットがあります。
最初のレポート(プラットフォーム起動時)に 、サンプルのプリセット[散布図行列と有意性円] を適用してみたのが下図です。散布図行列に確率楕円、回帰直線、有意性円などのオプションが適用されたレポートが即座に表示できました。
もう一つの例を行ってみましょう。[管理図ビルダー]のプラットフォームで、[Y] と [サブグループ] を指定してXBar&R管理図を描いた際、管理図のテスト(WER: Western Electric rules)を行うために、サンプルのプリセット [テスト付きIMR管理図] を適用してみたのが下図です。ゾーンに色を付け、WERの1~8のテストを実施し、管理図上に警告(引っかかったテストの番号)を表示します。
ここで、JMPの初心者になったつもりで考えてください。多変量の相関の例も、管理図ビルダーの例も、どのように操作すれば、プリセットを適用後のレポートを得られるでしょうか?
[多変量の相関]では、以下の赤枠のオプションをすべて適用しないといけないのです。初心者には難しそうですね。
[管理図ビルダー]でゾーンに色をつけたり、テストを実施するにはどのように操作するのでしょうか? 赤い三角ボタンからオプションを選択する方法ではないので、初心者の方にとっては難しいかもしれません。
サンプルのプリセットを適用すれば、そんなお悩みも解決しますし、何よりも効率的です。
※プラットフォームによっては、サンプルのプリセットが用意されていないものもあります。
2.カスタマイズしたレポートをプリセットとして保存して利用
自分でカスタマイズしたレポート設定を保存して、別のレポートに利用することができます。JMPを使っていると、だいたい最初から必要なレポート形式は決まってきますし、組織内で決められたレポートがある場合もあるでしょう。
例えば、私は階層型クラスター分析で、どのようなデータに対しても以下のオプションを必ず実行します。
[クラスターの色分け]、[カラーマップ]、[クラスターの要約]
これらのオプションを実行したレポートです。
オプションを設定後、★のアイコンをクリックし、[プリセットに名前を付けて保存] を選択します。
ここでは下左図のように、「カラーマップ、要約」という名前を付けて保存します。
保存したプリセットは、階層型クラスター分析の別のレポートに適用できます。下図は、別のデータテーブルで階層型クラスター分析を行った際、保存したプリセットを適用したものです。
プリセットの共有
自身で保存したプリセットはファイルに書き出すことができ、JMPのユーザ内でプリセットを共有することができます。
自身のプリセットを書き出し
- [ファイル] > [環境設定]の「プラットフォームのプリセット」グループを開きます。
- [書き出し] ボタンをクリックし、拡張子(*.jmppresets)で保存します。
プリセットの読み込み
- 環境設定の同じ箇所で、[読み込み] ボタンをクリックし、プリセット形式のファイルを読み込みます。
下図では、上記で紹介した階層型クラスター分析のほかに、主成分分析、判別分析、多重対応分析のプリセットが表示されています。
これらのプリセットを書き出して保存したファイルを、本ブログに添付します。
※添付のmultivariate_presets.zipを解凍して表示される、「multivariate.jmppresets」をマシン上に保存し、上記の[読み込み] ボタンから、保存した場所を指定して読み込んでください。
例えば、組織内で統計やJMPに詳しい方が、分析した結果をプリセットとして保存し、組織内のJMPユーザに共有し使ってもらうといった利用法が考えられますね。JMP 18では特におすすめの機能ですので、ぜひ使ってみてください。
by 増川 直裕(JMP Japan)
Naohiro Masukawa - JMP User Community
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