JMPの「等高線プロファイル」
JMPでは「等高線プロファイル」により、あてはめたモデルの予測式を等高線で表示し、因子(X) と特性値(Y)との関係を調べることができます。
特に医薬品の開発や製造段階ではQbD(Quality by Design)コンセプトにおいて、実験計画法により因子と特性との関係を等高線で表し、デザインスペース *を構築することが推奨されています。その際JMPでは、先に示した「等高線プロファイル」が良く用いられます。
*品質を確保することが立証されている入力変数(原料の性質など)と工程パラメータの多元的な組み合わせと相互作用(ICH Q8より)
ときどき、日本のお客様から「等高線プロファイル」で、以下のように応答の予測値をカラーグラデーションをつけて表示したいというご要望を受けることがあります。
残念ながらJMPでは「等高線プロファイル」にて、上記のようなカラーグラデーションをつけるオプションはありません。
「等高線プロファイル」は多特性(Yが複数ある)の場合でも、次のように複数の特性を重ね合わせて描くことができます。
このとき、複数の特性にカラーグラデーションをつけられるとすると、わかりにくいグラフになってしまいます。
「等高線図」で描くカラーグラデーションの等高線
最初に示したカラーグラデーションをつけた等高線をJMPで描くには、少し工夫が必要になります。
例としてJMPのサンプルデータ「Bounce Data.jmp」を使い、特性Y「反発係数」に対する応答曲面モデルをあてはめたとき、応答曲面をカラーグラデーションをつけた等高線にしたいとします。
[モデルのあてはめ]のレポートで「等高線プロファイル」を表示させたところからスタートです。
ここで表示させている等高線は、因子「シラン」の値を50に固定したときの、「シリカ」を横軸、「シラン」を縦軸にした等高線が描かれています。
カラーグラデーションの等高線を作成する操作
1. レポート「等高線プロファイル」の左にある赤い三角ボタンから [シミュレータ] を選択し、下図のように「繰り返し数」を1に、シリカと硫黄の数列を「位置母数の等差数列」に変更しステップ数を100にします。(この例でシランは値を固定している因子のため、数列は「固定する」のままです。)
2.「シミュレータ」の下方にある [テーブルの作成] ボタンをクリックします。
すると、上図右側のデータテーブルが出力されます。このデータテーブルは次のようにして作成されています。
「シリカ」の範囲(0.7-1.7)の間を等間隔に100個に区切る
「硫黄」の範囲(1.8-2.8)の間を等間隔に100個に区切る
⇒ シリカを横軸、硫黄を縦軸にし、10,000個(=100×100)のグリッドを作成、各グリッドにおける予測値を「反発係数」に入力
3. 操作2.で作成したデータテーブルに対して [グラフ] > [等高線図] を選択し、次のように [X]、[Y] を指定し、「表示領域の塗りつぶし」にチェックをいれます。
等高線図が作成されます。必要に応じて右側に表示される凡例を右クリックし、カラーテーマやラベルの数(何個に色分けするか)などを指定します。
さらに等高線上に値のラベルを表示させるには、レポート左上の赤い三角ボタンから [等高線のラベル] を選択します。
グラフビルダーで描くカラーグラデーションの等高線
上記では「等高線図」のプラットフォームで操作方法を示しましたが、手順2で作成したデータテーブルに対し、「グラフビルダー」で作成することもできます。
どちらが良いかは好みにもよりますが、「グラフビルダー」では等高線上に値のラベルを付与できないなど、「等高線図」に比べて表示上の制約がありますのでご注意ください。
by 増川直裕, JMP Japan
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