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こんなこともできる!「JMP 19」の新機能 ~ その1. 「多重応答」を使ったフィルタリング、集計 ~

ついに、新しいバージョン「JMP 19」がリリースされました!

 

もちろん「JMP 19」ではさまざまな機能が追加されています。主な新機能やアピールポイントについては、別のブログポストで紹介されています(原文は英語)。

 

そこで私の方では、あまり大々的にアピールはされていないけども、ユーザにとって便利で有用だと思える機能を数回にわたり紹介していきます。

 

第1回となる今回は、消費者調査や満足度調査などで役立つ「多重応答」についての新機能を取り上げます。JMP 19では「多重応答」列を用いたフィルタリング、集計表の作成ができるようになりました。

 

Masukawa_Nao_0-1758528272653.png

 

多重応答とJMPの設定

多重応答とは、アンケート調査などにおける「複数回答」(当てはめるものをすべて、あるいはいくつか選択して回答する形式)に対応するJMPの尺度やプロパティです。

 

下図は、ある企業研修のアンケートの回答をまとめたJMPのデータテーブルです。同じ内容の研修が合計11回行われ、計452名の参加者が回答しました。

Masukawa_Nao_0-1758676081242.png

 

列「受講理由」はまさに多重応答の列ですが、次のような設問に対する回答が入力されています。

----------------------------------------

Q. 本研修の参加目的は何ですか。当てはめるものをすべて選択してください。

□ 業務で必要

□ 上司の指示

□ 研修内容への興味

□ 自身のスキルアップ

□ その他(      )

----------------------------------------

 

例えば、33行目の受講番号「06-033」には、列「受講理由」の値として "業務で必要,  研修内容への興味, 自身のスキルアップ" とカンマ区切りで入力されています。これは、この3項目を複数回答したことを意味しています。

 

JMPでこのような入力データを複数回答として認識するには、その列の尺度を「多重応答」に指定する必要があります。

 

多重応答の設定方法

データテーブルで該当の列を選択し、[列] > [列情報] を選択して次の操作を行います。

 

  • 尺度を「多重応答」に変更
  • [列プロパティ]から「多重応答」を設定し、区切り文字を指定(この例では、カンマ( , )) *

Masukawa_Nao_3-1758529334380.png

 

入力形式によっては、例えば "業務で必要; 研修内容への興味; 自身のスキルアップ" と   セミコロン(;)で値を区切られている場合もあります。その際は、区切り文字として (;) を指定します。

 

* 区切り文字のデフォルトはカンマ (,)なので、この例では多重応答の列プロパティを設定しなくても構いません。

 

「データフィルタ」で多重応答の列を利用

JMPでは「データフィルタ(ローカルデータフィルタ)」を使って、分析条件の絞り込みをインタラクティブに行えることが特長ですが、JMP 19からは多重応答の選択肢をフィルタ条件として指定できるようになりました。

(JMP 18までは、「多重応答」の列をフィルタ条件に指定することはできませんでした。)

 

下図は「グラフビルダー」を用い、受講回(1回~10回)ごとの研修に対する満足度の平均を示しています。研修スタッフが研修内容の改善をしているせいか、回数を重ねるごとに、満足度が上昇する傾向が見られます。 

 

全回答者(452名)に対するグラフ全回答者(452名)に対するグラフ

 

ただし、受講理由によって研修に対するモチベーションは異なる可能性もあります。そこで受講理由でフィルタリングして考察してみます。

 

グラフビルダーで、「ローカルデータフィルタ」を用い、多重応答の列である「受講理由」を選択し、"研修内容への興味"、”自身のスキルアップ” と回答した受講者を絞ります。これらの項目は、興味やスキルアップと比較的前向きに研修に参加している受講者と捉えることができます。

 

Masukawa_Nao_1-1758677431100.png

 

該当者は123名となりますが、これは、”研修内容への興味” または "自身のスキルアップ" の少なくとも1つに回答した人の総数です。

 

このグループの満足度をみると、受講回による傾向はあまり見られません。改善を重ねても、前向きな動機を持つ参加者には内容が十分響いていない可能性があり、別の設問から原因を探ることが有効でしょう。

 

「表の作成」で多重応答の列を利用

JMP 19では「表の作成」プラットフォームでも多重応答の列を指定でき、各回答ごとの要約統計量(N、平均など)を算出できます。

(JMP 18までは、多重応答の列を分析対象とすることはできませんでした。)

 

下図は、「表の作成」を用いて「受講理由」ごとに研修の満足度を要約したものです。

 

Masukawa_Nao_0-1758678490874.png

 

この表からは、"研修内容への興味" や "自身のスキルアップ" と回答した人の平均値(6.96)が、"業務で必要" や "上司の指示" の平均値より低いことがわかります。

 

アンケート活用の幅を広げるために

近年は「Google フォーム」や「Microsoft Forms」などを利用すれば、誰でも簡単にアンケートを作成・実施・集計できます。

 

ただし、アンケートから自社製品の改善や新商品の開発のヒントを得るということであれば、アンケートの結果を詳しく洞察していく必要があるでしょう。

 

そんなときには、JMPを使って製品を不満足と感じる属性を抽出したり、特定の属性に絞って分析したりする用途で、今回紹介した機能が便利です。

 

 

by 増川 直裕(JMP Japan)

Naohiro Masukawa - JMP User Community

Last Modified: Sep 23, 2025 10:27 PM