レベル:初級
本研究は,脳神経クリニックにて医療の質を確保する目的で実施したアンケートから,初診患者の満足度を俯瞰的に把握するために分析したものである.
本研究の前段階で,初診患者満足度を効果的でかつ効率的な維持・改善施策を立案する際に,重点指向に基づく選抜型両側因果分析が応用可能であることを明らかにした.それをもとに,今後も当クリニックでは患者満足度を維持・向上するために,患者満足度を俯瞰的に把握したいと考えた.そのために,これまでに収集したデータを用いて選抜型両側因果分析では採用されなかった影響度の弱い原因系項目も復元させ,SEM(構造方程式モデリング)に準じた分析を行う.
選抜型両側因果分析で選抜された主要原因系項目とその背後にある因子は,SEMの分析でもある程度の適合度が得られる.しかし,影響度が低い原因系項目とその因子を加えることによって,因果構造をより俯瞰的に把握できるが,その一方で適合度指標は相対的に劣化する.
今後,本研究の結果を用いて本来のSEMに近づける過程において,新たに患者満足度調査を実施することで適合度指標の改善を考えている.本発表では,一連の分析過程で得られた知見を紹介する.