視覚的なデータの分布の同定をいつまで続けるのですか
BioStat研究所株式会社 代表取締役 高橋 行雄
得られたデータがどのような分布にあてはまるのか同定することは、統計解析の初めの一歩である。JMPの「一変量の分布」を用いて、視覚的にデータの分布を確認するために多くの方法が提供されてきた。伝統的には、正規分布のあてはめが可能か否かの判断が主体であった。JMPの「一変量の分布」には、ヒストグラムに対する確率密度関数のあてはめも以前からサポートされていた。最近のバージョンで「連続分布のあてはめ」で「すべて」を選択すると‐2倍の対数尤度とAICc(補正赤池情報量規準)の大きさの順に多くの分布が列挙され、分布のあてはめについてAICcによる判定が可能となっている。各種のデータでAICcを用いた分布あてはめの順位を評価したところ有意義であった。対数尤度の出力されていることから、最尤法を用いていると思われるので、Excelを用いてJMPの計算方式の追試を行った。AICcを用いて、どのような分布のあてはめが適切かの検討に際し、従来の視覚的なあいまいな判定から脱却するいい機会と思われる。同様の機能が「寿命の一変量」にも備わっているので、併せて新たな分布のあてはめについて論じたい。