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感染症流行データ分析に役立つ統計解析

感染症流行データ分析に役立つ統計解析
北海道大学大学院医学研究院 教授 西浦 博

 

ヒトの国際的移動の活発化と動物・自然界への暴露機会が増加したことなどを背景として、新興再興感染症の流行が相次いで報告されています。2002-3年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を皮切りに高病原性鳥インフルエンザ、新型インフルエンザH1N1-2009、中東呼吸器症候群、エボラ出血熱、ジカ熱など、様々な感染症流行が報告されてきました。また、ワクチン接種で予防可能とされる風疹や麻疹などの集団発生も先進国・日本で続いています。これら流行が発生したとき、流行対策を色々と考える前に感染自然史や伝播の特徴をよりよく理解して現状を確実に把握することがまず求められます。これまで、日本を含む諸外国では流行発生時の観察データの収集方法などが飛躍的に発展し、国立感染症研究所のFETP(フィールド疫学者養成プログラム)の修了生が輩出されるなど、疫学的なインフラが少しずつ整い始めており、高度なモデリング研究が少しずつ可能になりました。本講演では、これまでの講演者の研究経験の事例を交えつつ、数理モデルや統計モデルを利用した研究がどのように感染症疫学で活用され、流行対策を考案する上で貢献してきたのかを簡単にまとめて紹介します。特に、ジカ熱や麻疹の事例では、共同研究者とのコード共有の一環でJMPで最尤推定を実装しましたので、そちらもご覧いただきたいと思います。(1)輸入感染症の感染者が渡来するリスクや流行リスクの推定、(2)伝播パターンの分析と流行対策、(3)隔離の効果など新しい因果推論の取り組み、などを研究例として取り上げてJMP及び統計学に関心を持たれている専門家を対象にご紹介したいと思います。