工程管理手法で近年の気候変動を検出できるのか? ~JMPを用いた異常トレンド検出の試み~
近年、地球温暖化の影響で気候変動が進行していると言われているが、本発表では、日本の各地方における気候変動をJMPの工程管理手法を用いて検出する試みを紹介する。
分析用の気象データとして、日本全国約60か所の気象台で観測された過去30年間の気温(平均、最高、最低)と降水量(合計量、1時間最大量)を収集する。
時系列データの変動を調べる方法はさまざまあるが、JMPでは管理図などの工程管理手法を用いて、工程のシフト(急激な変化)やドリフト(ゆっくりと変化する傾向)を検出できる。そこで、気象データを一種の「工程」とみなし、変動の検出を試みる。
まず、JMPの「工程のスクリーニング」を用い、得られた工程の要約表やグラフからシフトやドリフトが見られる観測地点および観測項目(気温、降水量)を抽出する。
抽出された地点や項目について、管理図やそのテストを用い、管理図の前提(正規性、独立性)を意識しながら、近年それらの項目に変動が見られるかどうかを詳しく調べる。管理図では通常用いられるシューハート管理図だけでなく、工程における小さなシフトを検出するために用いるCUSUM(累積和)管理図も用いて考察する。