慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 後期博士課程 塩田 藍
慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授 山内 慶太
日本の精神科医療は入院加療から地域生活への移行が推進されているが、長期入院患者の地域移行・定着は十分に進んでおらず、地域生活環境の整備が課題となっている。コミュニティインテグレーションとは患者自身がとらえる地域生活環境をあらわす概念であり、海外では地域生活の目標として掲げられている。本研究の目的は地域在住精神障害者のコミュニティインテグレーションの向上に有用な要因を見出すことである。
研究方法は、地域在住精神障害者を対象とし自記式質問紙調査を行った。JMP 13.2.0 (SAS Institute Inc., Cary, NC, USA) を使用し、コミュニティインテグレーションの構造を明らかにするために個人要因、環境要因を投入した重回帰分析を行った。その際に集団による特性を見出すために、パーティション分析により層を抽出した上で、層ごとに重回帰分析を行った。なお非標準化偏回帰係数を解釈するにあたり、VIFを高めないように投入する変数の扱いに工夫を施した。
層別した重回帰分析を実施したことで、層で共通する要因と各層で固有の要因が見出され、有用な知見を得ることができた。