城西大学 薬学部 招聘教授 高山 幸三
錠剤は医薬品適用形態のおよそ50%を占める重要な剤形である。特殊な場合を除き、錠剤は粉体や顆粒を臼杵内にて圧密することにより製造される。そのため、除圧後も錠剤内部には様々なベクトルを持つ応力が残留する。残留応力はキャッピングやラミネーション等の打錠障害に密接に関与することが知られている。また錠剤の品質に関わる重要な特性に対しても大きく影響する可能性がある。我々は粉体や顆粒の圧密過程をDrucker-Prager-Capモデルによりモデル化し、有限要素法によって、錠剤内に残留する応力を推算している。これらの応力値に一般化回帰モデル(JMP Pro 14)を適用した結果、錠剤の品質特性が高精度に予測され、さらに品質特性に影響する応力部位を特定することができた。本発表では、処方や形状の異なる錠剤研究の事例を紹介し、一般化回帰モデルによる品質特性予測の可能性と限界について考察する。