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日本における乳がん患者の経済的毒性に関連する要因: 患者と医師の観点からの比較_佐伯 澄人(2023-JA-25MP-04)

レベル:中級

 

【発表者】

公益財団法人 がん研究会 有明病院 乳腺センター 佐伯 澄人

 

【発表概要】

【背景】経済的毒性(FT)は、世界中の乳がん患者にとって注目すべき問題である。しかし、日本におけるFTの状況は十分に調査されていない。本研究では、日本の乳がん患者におけるFTについて検討し、班研究全体の知見の概要を発表したものである。
【方法】調査はQuestantアプリケーションを使用し、主に研究施設に通う乳がん患者と日本乳癌学会会員の医師を対象とした。患者のFTを定量化するために、omprehensive Score for FT(COST)の日本語版を用いた。アンケート項目は主成分解析を行い整理し、重回帰分析を用いて、日本の乳がん患者におけるFTに関連する因子を特定し、医療費に関する情報支援レベル(ISL)の充実度を評価した。すべての解析はJMP® 17.0.0(SAS Institute Inc.; Cary; NC; USA)を使用して行った。
【結果】患者からは1,558件、医師からは825件の回答を得た。FTに影響を与える要因としては、最近の支払いが最も影響が大きく、次いで病期(ステージ)、関連診療科がFTにプラスの影響を与えた。逆に、収入、年齢、家族支援などの因子は、FTにマイナスの影響を与えることがわかった。患者と医師の間には、情報サポートの認識において有意な相違が確認され、患者はしばしばサポートされていないと感じ、医師は十分なサポートを提供したと考えていた。さらに、医療費に関する説明の頻度や質問する機会についても、FTの毒性グレードによって違いが見られた。また、情報支援の必要性をよりよく理解し、医療費に関する知識が豊富な医師ほど、包括的な支援をより多く提供する傾向があることが示された。
【結論】本研究は、日本の乳がん患者におけるFTへの対応の重要性を強調し、経済的負担を軽減し、個々のニーズに合わせた個別化支援を提供するために、情報支援の充実、医師の理解、専門家間の協力の必要性を明らかにした。
【キーワード】経済的負担、乳腺腫瘍、医療サービスの利用しやすさ、多変量解析、日本乳癌学会班研究

 

【発表者プロフィール】

乳腺外科医師。がん研究者。臨床検体や患者由来オルガノイドを用いた研究、炎症性乳がん研究、多種臨床情報に基づく転移・再発乳がん症例の層別化、医療経済学、乳がん画像診断に関する研究を行っている。2014年、東北大学医学部卒。2023年、同大学院(連携)博士課程卒。2018年がん研有明病院乳腺センターレジデントを経て 2019年よりがん研究会がんエピゲノムプロジェクトへ参加。乳がん患者臨床検体を用いたオルガノイド培養基盤の構築を経て、患者由来オルガノイドの腫瘍内不均一性の検討を行いつつ、炎症性乳がんの病態解明を目指した研究を開始。転移性乳癌の臓器別病態解明を目指し、構造方程式モデルを利用した研究を行っている。基礎以外では、2019年乳癌学会班研究『日本における乳癌治療による経済的負担への意識に関する研究』に採択され、乳がん治療における経済毒性の研究を実施。医師としては画像診断制度管理を行いつつ、分子生物学的特徴がどのように表現型の違いを生み出し、それらが画像パターンとして認識されるのかというテーマで研究を進めている。

 

【論文集】
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