人生最期の時、住み慣れた自宅で看取られたい!! 在宅医療データから見る看取りの選択肢と現実
ACPとは、終末期医療で重要視されている取り組みで、将来の医療やケアについて、本人を中心に家族や医療チームが繰り返し話し合いを行い、本人の意思決定を支援するものである。本研究では、ACPによる患者と家族の希望する看取り場所を明らかにし、希望が叶わなかった事例の特徴について検討した。医療法人おひさま会(神戸市)の在宅診療の医学管理下にあり、1年間にお亡くなりになった方を対象に、ACPの有無、本人と家族の希望する看取り場所、実際の看取り場所、および患者背景を診療録より調査した。自宅・施設を看取り場所として希望された方を抽出し、現実にそれが叶った例と、叶わずに病院で看取られた例の違いについて回帰モデルおよびパーティションを用いて解析を行った。集計では、希望が叶わずに病院で看取られた例は30.8%(88/286例)だった。これらの例の特徴として、過去1年の入院回数が多いこと、家族構成が独居であること、死亡時年齢が低いこと、そして自立生活力が高いことが挙げられた。本人の希望に基づき自宅での看取りを実現することは、医療費の節減にも繋がるため、希望と現実を一致させるための対策を検討する必要がある。