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Naohiro Masukawa

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複数の工程パラメータを 1 つのグラフで比較する方法 ~ JMP 19新機能「複数のY軸」の利用~

下のグラフのY軸に着目してください。Y軸が6つもあります!

最新版の「JMP 19」では、「グラフビルダー」において、複数のY軸を1つのグラフに表示する「複数のY軸」のオプションが追加されました。

Masukawa_Nao_0-1765522473646.png

このグラフのように、複数のY変数を1つのグラフで表現することで、次のようなメリットが得られます。

  • スケールの異なる変数でも、同じ時間軸でトレンド比較できる
  • 変化したタイミングを把握・比較しやすい
  • 変数間の関連性(相関)を把握しやすい

 

ただし、これらのメリットを得られる他のグラフ作成方法も考えられます。

本記事では、工程トレンドを調べるデータに対し、JMPの「グラフビルダー」を使って、複数の工程を効果的に視覚化する方法を考えてみます。

 

工程データ例と共通のY軸でのグラフ化

以下は、3つの機械(Machine1~Machine3)を使って製品を製造したときの工程データです。各機械について、1秒ごとに原料のパラメータ(P1, P2)が取得されており、合計6つの工程パラメータがあります。

ここでは、これら 6 つの工程パラメータについて、時間変化のトレンドを把握し、相互に比較できるグラフを作成することを目的とします。

Masukawa_Nao_1-1765523078394.png

データの出典:Multi-stage continuous-flow manufacturing process

 

とりあえず、共通のY軸でのグラフを作成してみます。

工程パラメータ6つを同時に選択し、[Y] ゾーンにドロップすると、次のようなグラフが作成されます。これらのパラメータはP1とP2とでスケールが異なるので、相対的に値が小さいP1のトレンドが分かりにくくなっています。

Masukawa_Nao_0-1765524405721.png

 

グラフを分割して表示

そこで各パラメータに対し、別々にグラフを作成することが考えられます。

変数を選択してドラッグし、Shiftキーを押したまま[Y]ゾーンにドロップすると、分割したグラフを作成できます。

Masukawa_Nao_1-1765525193225.png

この方法では、それぞれのパラメータの変化は確認できますが、もっとパラメータが多くなると、個々のグラフが小さくなり、パラメータ間の関係が比較しにくくなります。

 

変数を標準化して1つのグラフに

スケールが異なるパラメータであれば、標準化などの前処理を行い、スケールをそろえたものをグラフ化する方法も有効です。

JMPで列を標準化する方法はさまざまありますが、列を選択した後、右クリックメニューから [分布] > [標準化]を選択することで、平均0、標準偏差1に標準化した(仮想)列を作成できます。標準化した列をまとめてY軸に指定すると、以下のように1つのグラフ上で複数のパラメータのトレンドを把握・比較できます。

Masukawa_Nao_2-1765525656089.png

 

複数のY軸(JMP 19の新機能)

冒頭で示した通り、JMP 19では複数のY軸を表示させるオプションが追加されました。

グラフを作成する際、オプション[複数のY軸]を選択してチェックが入った状態にしておくと、列をY軸にドロップした際に、それぞれ独立したY軸として表示されます。グラフの色、軸の色、凡例は対応して表示されます。

Masukawa_Nao_1-1765526951099.png

各 Y 軸はダブルクリックすることで、最小値・最大値などの設定を個別に変更できます。また、凡例の線を右クリックすることで、線の色や線種の調整も可能です。

 

参考:[ページ] ゾーンを用いた視覚化

列を積み重ねたデータ形式を用いることで、次のようなグラフを作成できます。この方法では、各グラフの軸がそれぞれのデータ範囲に合わせて自動的に調整されるため、パラメータ間のトレンドを把握・比較しやすくなります。

Masukawa_Nao_0-1765527299759.png

 

このグラフを描くには、[列] > [列の積み重ね] を用い、事前に6つのパラメータの列を積み重ねておきます。

Masukawa_Nao_0-1765771676940.png

 

積み重ねた上記のデータに対し、「グラフビルダー」で、次のように列を指定します。

「Value」: [Y]

「time_stamp」: [X]

「Variable」: [ページ]

さらに、[ページ]のゾーンで右クリックして[1行あたりの水準数]を選択し、1行に表示するカテゴリ数を入力します。上記の例では、"3" と入力し、1行に3つのグラフを表示しています。

 

まとめ

本記事では、スケールの異なる複数の工程パラメータを可視化するための効果的な方法として、次の表現方法を紹介しました。

  • グラフの分割
  • 標準化
  • 複数のY軸
  • [ページ]ゾーン

JMP 19 で追加された「複数の Y 軸」は、元のスケールを保ったまま、複数のパラメータのトレンドを 1 つのグラフで比較したい場合に有効な選択肢となります。

実務では、スケールが異なる項目(パラメータ)を同時に扱い比較する場面は良くあります。そのときの選択肢として、「複数のY軸」の機能を知っておくと良いでしょう。

 

by 増川 直裕(JMP Japan)

Naohiro Masukawa - JMP User Community

Last Modified: Dec 15, 2025 12:37 AM