済生会病院における医師の働き方に関する実態調査データの分析_佐村 紫帆(2023-JA-PO-05)
本研究は、医師の働き方を適正化するための2024年4月に施行される医師の働き方改革に向けて実施された調査データを分析したものである。本研究の調査対象病院は、日本の社会福祉法人としては最大の公的医療機関を運営する恩賜財団済生会(許可病床数22;191床)の81病院とした。そのうち76病院・1468名の常勤医師から無記名自己記入式質問紙調査で回答を収集した(回答率35%)。公開されている病床機能報告における病床機能区分やアンケート回答医師の分布に留意し、Classification and regression tree (CART)による回帰木を作成した。分析の結果として所属病院、医師の疲労の程度、休日の疲労回復の程度が最も職務満足度に影響を与えており、勤務時間や兼業病院の有無、当直やオンコールの回数など自己申告で把握可能な指標は直接的にはあまり大きな影響を与えていないことがわかった。医師の健康状態が保たれ、職務満足度を向上するとともに、質の高い医療を永続的な形で提供できるように労務管理を検討する必要があると結論づけた。