レベル:上級
超設計は超因子に基づく2重構造の関数であるところの超構造関数を用いる解析的な設計である.この方法は設計の可能性を高め,従来はできなかった高度な設計を可能にしている.ただし,初期に開発された超設計は全区間を一つの関数で高精度に近似できることを必要としている.しかし,近年は水準数の多い実験が増え,水準数が10前後からそれ以上になると全区間を一つの関数で高精度に近似することが困難になる.このような場合には全区間を小区間に分割して各区間を高精度に近似するという複合近似を用いることが合理的である.しかし,そのことにより設計で扱うパラメータ(係数)が格段に多くなるためにその対応が必要である.本研究はそのための方法を紹介する.また,柔軟で高度な設計は分散分析のアプローチでは困難で,数理計画法により可能になる.このとき重要になるのは「設計のPDCAサイクル」を廻すアプローチである.本研究では設計を関係者の合意形成ととらえ,それを数理計画法に基づく「設計のPDCAサイクル」の廻すアプローチで実現する方法を提案する.そして,高度な応用として超因子を自由自在に指定することの可能な柔軟設計についても議論する.
50年近くに亘りTQM(Total Quality Management:総合的質経営),SQM(Statistical Quality Management:統計的質経営)および設計論の研究を行ってきた.21世紀に入ってからは新しい設計パラダイムである超設計(Hyper Design)を提案し,その数理であるHOPE理論(Hyper Optimization for Prospective Engineering)を開発しその支援ソフトHOPE-Add-inをSAS社との共同開発行っている.この取組みによりこれまでに考え方である「超設計」,統計数理である「HOPE理論」,支援ツールである「HOPE-Add-in for JMP」の三位一体による新しい設計法を実現している.そしてこの理論の社会科学的延長線上で選抜型両側因果分析(表側因果分析 としての[多群主成分回帰分析]+裏側因果分析としての[因子回帰分析])を提唱し,現在は選抜型両側因果分析後の進展アプローチである反転因果分析(準SEMにあたる因果分析方法)を提案している.
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