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FT-IRによるペクチンの分子構造解析_坂井 二千佳(2021-JA-PO-P2)

レベル:初級


【発表者】

坂井 二千佳, ユニテックフーズ株式会社 研究開発部  

樋口侑夏, ユニテックフーズ株式会社 研究開発部
浅野 桃子, ユニテックフーズ株式会社 研究開発部 課長

       

【発表概要】

ペクチンはリンゴや柑橘などの果実に含まれる増粘多糖類であり、日本国内では食品添加物としてジャムなどのゲル化に活用されている。

本研究ではペクチンの重要なゲル化指標であるDegree of esterification: DEの迅速な推定を目的とした。

ペクチンは酸性多糖でありカルボキシ基を持つガラクツロン酸が重合した主鎖をもつ。一部のカルボキシ基はメチルエステル化されており、その割合をDEという。DEによりHigh methoxyl: HMペクチンとLow methoxyl: LMペクチンに大別され、ゲル化機構が異なる。

LMペクチンはカルボキシ基同士がカルシウムなどの金属イオンにより架橋されネットワークを形成することでゲル化するため、DEによってゲル化性質が大きく異なる。そのためDEは非常に重要なゲル化指標となる。しかし、一般的なDE測定方法である滴定法や比色法は作業時間が長いことや作業者の技量によるブレなどに課題がある。

そこで、本研究ではフーリエ変換赤外分光光度計 (FT-IR)による測定で得られたペクチンの吸収スペクトルデータを多変量解析手法の一つであるPLS回帰で分析し、DE推定モデルを構築した。これにより、分子構造が未知のペクチンに対してもFT-IRで測定することにより、迅速で簡便にDEを推定することが可能となった。


【発表者プロフィール】

2013年東京海洋大学院修士課程修了。同年ユニテックフーズ株式会社に入社。技術開発部を経て、2020年より現在まで研究開発部に所属。

ユニテックフーズ株式会社は、ペクチンをはじめとするハイドロコロイドや天然食品素材、機能性素材を海外の素材メーカーから取り揃え、活用ノウハウとともに国内食品メーカーに提供および販売することを主な事業としており、それらの素材を活用した商品の開発や品質改良および研究業務などに携わっている。現在は、主にペクチンの分子構造やそれによる物性の変化について研究を行っており、その分析にJMPによる統計解析を活用している。

     

Comments
Ch8

PLS回帰の活用で簡便でブレの少ない推定モデルを構築され、すごいと思いました。