レベル:中級
モダンアプローチと題しているように、従来の実験計画法の本と違って、ソフトウエア(JMP)の使用を前提とした本である。著者のB. JonesはSAS社の’Doctor DOE’、D. C. Montgomeryはアリゾナ州立大教授。従来の実験計画本では解析結果の主体は分散分析表であるが、この本はそのほかに、プロファイル・予測値と実測値のプロット・効果の要約・残差プロットなどのJMP解析結果が示されるので、読者は直感的・多面的に理解できる。本の内容は一般的な内容が一通り網羅されているが、ハイライトはスクリーニング計画(8章)である。実務家はどの実験計画を使うべきか、かなり踏み込んだ提案がされており有意義である。難解なレゾリューションの概念も、JMPの相関のカラーマップ・交絡行列・計画の生成ルールが理解を助けてくれる。連続量主体の実験でDSDがリーズナブルな実験計画であることが理解できる。
ランダム化・繰り返し・ブロックの扱いによる解析結果の違い、欠測値処理という実務で良く起きるやっかいな問題への対処法、主効果の直交性と交絡最適性のトレードオフ、その歴史的な経緯など、有意義な内容が豊富である。分割実験(SPD)もわかりやすく書かれている。
山武ハネウエル(現Azbil)でFA開発部長,理事 研究開発本部長,理事 品質保証推進本部長,アズビル金門参与,などを歴任したのち東林コンサルティングを設立.専門領域は生産データ解析による歩留まり改善や品質改善,市場不良予測・ロバスト設計・最適化設計・実験計画などの統計的問題解決全般,デザインレビュ―・根本原因分析手法(RCA)・ヒューマンエラーの未然防止・工程改善などの現場指導など.著書は『ネットビジネスの本質』 日科技連出版 2001(共著)【テレコム社会科学賞受賞】,『実践ベンチャー企業の成功戦略』 中央経済社 2011(共著),『よくわかる「問題解決」の本』 日刊工業新聞社 2014(単著).主な論文は「生産ラインのヒヤリハットや違和感に関する気づきの発信・受け止めを促進するワークショップの提案」品質管理学会 2016【2016年度品質技術賞受賞】.主な講演「作業ミスを誘発する組織要因を可視化し改善を促進する仕組みの提案」(Discovery-Japan 2018)
「JMPによる品質問題の解決~製造業の不良解析と信頼性予測~」(Discovery-Japan 2019)