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JMPで繰り返しが不揃いの2元配置データの解析ができるの? -平方和の分解ではなくデザイン行列と最小2乗平均の活用-_高橋 行雄(2022-JA-50MP-24)

レベル:初級

実データで,2つの質的変数,量的な変数を応答として解析しようとすると必然的に「繰り返し不揃いの2元配置」に帰着するが,この問題を扱っている日本語の教科書を見い出すことができない.そのためか,Web上では,「繰り返しが等しくないと解析できない」などが蔓延している.その原因は,平方和の分解に頼り切りで,ダミー変数を用いたデザイン行列Xを用いた解析法が,統計の入門書では,忌み嫌われているためである.「モデルのあてはめ」を使っているJMPユーザーは,繰り返しが等しくても,不揃いでも,全く気にせず解析しているはずである.「効果の詳細」での質的変数の水準平均を求めようとすると,「最小2乗平均」と「平均」が出力され,それらに食い違いが出ることを知っているに違いない.ただし,その違いをきちっと説明することができるのだろうか.そこで,2×3の繰り返し不揃いの2元配置データについて,Excelの行列関数を用いた解析方法を示し,JMPによる解析結果と対比することにより,「モデルのあてはめ」の計算原理の理解を深め,更なる応用ができるように,平方和の分解に代わる計算方法を示す.

JMP4からのユーザで,SASもJMP以前から使っています.以前勤めていた会社では,各種のJMPを用いた統計教育を行いつつ,JMPの社内での普及活動を行ってきました.この成果は適宜,JMPer’sミーティングで紹介してきました.定年退職後は,自営業的コンサルティング会社を設立して活動を続けています.最近,日本の多くの学問分野(臨床統計を除く)における実データの統計解析能力が集団的に衰退しつつあることを実感しています.私にとって実験計画法は,統計の理論の学習,実務での実践のために欠かせないものでした.今回のテーマは,私にとってすでに解決済の課題でしたが,改めて実験計画法に関連する書物を読み直したところ,JMPの「モデルのあてはめ」の計算原理を使った例示は全くなく,古典的な平方和の分解に固執している伝統的な解析法のオンパレードに愕然し,これが,繰り返し不揃いの2元配置データの解析ができないとの妄想が広まっていると確信しました.