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鹿児島県茶市場における画像解析による荒茶成分値の予測と現場での活用_富濵 毅(2023-JA-PO-08)

鹿児島県茶市場では,荒茶品質改善を目的に,入札される荒茶の外観と水色がデジタルカメラで撮影され,その画像のテクスチャー解析や色度解析から得られる数値は,単価や画像とともにスマートフォン等で各農家にフィードバックされている。今回,お茶の味や香りに大きく影響する荒茶成分値を,栽培情報と画像解析データから説明・予測する手法をJMPの各種機能を用いて検討した。
県内各産地から茶市場に入荷・画像解析・落札後,近赤外法により成分分析された一番茶1,292サンプルのデータセットを用いた。一番茶荒茶成分値(全窒素,遊離アミノ酸,テアニン,繊維,タンニン,カフェイン,ビタミンC)を用いた主成分分析より,入札される荒茶の特徴は,全窒素や繊維に関する指標の主成分1と,タンニンやカフェイン量に関する指標の主成分2で74.4%説明でき,単価は全窒素と正の,繊維と負の相関があった。
管理図より,全窒素と繊維は操業後半(中生~晩生品種)で管理限界を逸脱する事例が多く,全窒素の仕様下限値を含有量5%,繊維の仕様上限値を含有量22%とした場合の不適合率は,それぞれ4.9%,6.4%であった。
荒茶画像解析データから全窒素と繊維を予測するため,栽培情報と10の画像解析項目をパラメータとしたPLS回帰や応答曲面モデルのあてはめを行った結果,両成分値は,入札日と品種に加えて,画像解析項目の「白茎」(摘採する新芽の熟度の指標)を組み込んだモデルで説明できた。さらにプロファイルのデザインスペース機能により,「中~晩生の主要品種は,5月7日までに白茎を程度3以下になるように摘採・製造」すると全窒素と繊維の仕様内割合を98.9%にできると予測された。
以上,荒茶成分値は栽培情報および画像解析データから予測でき,仕様内に維持する栽培指標が得られた。これらの情報を現場での摘採・製造における指導に活用している事例を紹介する。