レベル:中級
モデルに基づく多変量管理図(MDMVCC)プラットフォームでは主成分分析モデル(PCAモデル; Principal Component Analysis)やPLSモデルに基づいて、管理図を作成します。この管理図は多次元データでの故障検知や診断に用いることができます。ここでは、PLSモデルに基づくMDMVCCによるモニタリングをTennessee Eastmanプロセス(シミュレーションされた化学工業プロセス)を用いてデモンストレーションします。このシミュレーションでは、化学反応器がガス状反応物から液体製品を生成する際に、品質変数と工程変数が測定されます。
まず、オフライン状態での故障診断をします。この場合、多変量管理図や単変量管理図そして工程の診断レポートを交互に参照することになりますが、MDMVCCプラットフォームでは非常に簡便に行うことができます。次に、JMPを外部データベースに接続し、MDMVCCプラットフォームによるオンラインのモニタリングをデモンストレーションします。製品の品質変数はすべての測定結果が出揃うまで、時間遅れが発生するため、故障検知も大体は遅延します。PLSモデルに基づくMDMVCCでは、品質変数のばらつきは工程変数の関数としてモニタリングされますが、一般に工程変数は比較的すぐに利用できるため、故障の早期検知に役立ちます。
Jeremy Ashはノースカロライナ州立大学でバイオインフォマティクスの学位を取得し、現在JMPのアナリティクスソフトウェアテスターとして業務に従事しています。学位論文ではケモインフォマティクス、計量化学、バイオインフォマティクスでの計算手法について執筆しました。また、ノースカロライナ州立大学で統計学の修士号を、テキサス大学オースティン校で生物学の理学士号を取得しています。